8/22 橋下氏ツイッター「教育学部教授などの教育の専門家に教育委員会制度などを論じさせらた全く駄目だ」

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(引用)
8月22日朝日新聞29面(※この記事の後半に掲載)。教育委員会制度の廃止について、東大教育学部の准教授の調査結果が出ていた。「教育委員会制度の廃止には市区町村長の6割が反対。教育委員会制度の廃止を唱える橋下の主張は少数派」だと。この記事を読んで確信した。

教育学部教授などの教育の専門家に教育委員会制度などを論じさせらた全く駄目だ。教育委員会制度は組織ガバナンス論、統治機構論であって、教育論ではない。教育の専門家である教育学部准教授は、教育委員会制度の問題点をどのように探っていくべきか全く分かっていないようだ。

組織の仕組みは組織の規模や実態に合わせるべき。これが僕のガバナンス論、統治機構論。大阪都構想も、今の大阪と言う都市に、大阪府、大阪市の仕組みは合っていないから、だから大阪都に作り直そうという論。大阪という都市に合わせた行政機構を作り直そうと。

教育委員会制度も同じ。全国1700ある自治体を全部一括りにして、一つの教育委員会制度で組織を動かそうとするから失敗する。家族4人でやっている商売から、5万人の従業員を抱える企業までを一括りにできるわけがない。

ゆえに組合から有限会社、株式会社、そして株式会社の中にも委員会設置会社など、様々なガバナンス形態が用意されている。自治体も1700あるうち、85%は人口10万人未満の自治体。そのような自治体と、880万人人口の大阪府や、学校園を500以上抱える大阪市を一括りにできるわけがない。(続く…)

(続き)
全国1700、組織の規模も実態も種々異なる自治体の長を一括りにして、教育委員会制度という組織の在り方について、教育委員会制度の廃止にYESかNOかなんて、一体の何の意味があるのだろう?単なる時間の無駄、費用の無駄としか思えない。

そもそも朝日新聞は多数の意見で物事を決めるなという立場だろう。その立場なら、僕の意見が少数意見だということに何の意味がある?同じ朝日の9面(記事リンク)には、ドイツで起きている国民投票導入の動きをけん制していた。国民投票はナチスドイツに繋がるという朝日のいつもの論法。

僕は、日本の憲法改正論議で国民投票を重んじて、憲法96条の先行改正を唱えたが、朝日は国民投票には徹底的に懐疑的だった。国民は移ろいやすい、過半数で物事を決めるなと。多くの国民の声より、賢い学者や朝日新聞論舌委員の声を聞けと。

その代り、官邸前の市民デモの声を聞けと朝日はもうむちゃくちゃだった。官邸前には2万人も集まったぞ!!と。有権者7000万人のうち、2万人の声を聞け!!と朝日は必死になっていた。ところが今回の教育委員会制度論になると橋下の意見は少数だぞ!!となる。

僕の意見が少数なのは当然だ。全国で1700ある自治体のうち、人口が800万人を超えたり、500も超える学校園を抱える自治体は全国の中で1つか2つしかないのだから。端的に言えば、規模の大きい自治体で、教育委員会事務局の組織が肥大化ししている治体では今の教育委員会制度ではダメ。

だから全国知事会は教育委員会制度の廃止を主張している。他方、規模の小さい市町村では今の教育委員会制度で問題はないと首長は感じているのであろう。だからこそ組織の実態に合わせた選択制などを採り入れるべきだ。今の教育委員会制度で良いと言っているところはそれでやれば良い。

10数人ほどの教育委員会事務局と数百名の教育委員会事務局で同じガバナンス構造が妥当するわけがない。一括りにして論じる教育学部准教授のセンスを疑う。教育委員会制度論は教育論ではないことの証だ。昨日の日経一面にもあったが、大学学長は学問のプロではない。組織マネジメントのプロだ。

教育委員会制度も、教育の専門家よりも、組織論の専門家に論じさせなければならない。これは大阪府知事時代にぶつかった壁だ。当時、大阪の子どもたちの学力は最低の状況にあった。ゆえに学力向上に力を入れるべく、100マス計算の陰山さんなどに教育委員に就任してもらった。

彼らは教育実践についてはプロだ。しかし、教育委員会事務局という巨大組織を運営するには素人だ。だから組織論、ガバナンス論である義務教人事権の府から市町村への移譲問題、教育委員会会議に知事が出席する制度、そして大阪教育基本条例については全く議論がかみ合わなかった。

これらの問題は統治機構論であり教育論ではない。小規模な自治体では今の教育委員会制度で問題はないのであろう。これは裏を返せば、政治と教育の分離が不完全だからだ。だからこそ朝日の記事にある通り、今の制度で首長の制約を感じないと答えている首長が51%もいる。

そりゃそうだ。教育委員会事務局のメンバーもほとんどが顔見知り。規模もせいぜい30名ほど。議員も保護者も事務局も加えて学校の先生まで密な関係にあるような自治体では、今の制度でも問題はないし、むしろ政治と教育の分離なんていうこともそんなに意識をすることはないだろう。それはそれで良い。

問題なのは教員が数万人。教育委員会事務局も数百人の規模になった教育委員会事務局のガバナンスだ。朝日は以前、教育委員会制度の改革よりも事務局の改革を!という記事を載せていた。それはそれで良いのだが、そのような事務局の改革ができる規模とそうでない規模がある。

朝日の記事では、教育委員が現場に出張ミーティングをすることが出ていたが、大阪市の教育委員会でそれができるわけがない。どうやって550園に出張するのか。出張ミーティングだけで10年は過ぎる。そして自民党の教育委員会改革案も危ない。どうも文部科学省官僚にやられている感がある。

「教育長に責任と権限を一元化する。そして首長が教育長を選べるようにする。」今の教育委員会制度でも実態はそうなっている。法的には教育長は委員の互選だが、実際、常勤の教育長ができるのは行政マンか大阪府教委のように一本釣りで引っ張ってくる人材でしかない。

そもそも教育長は、初めから教育長になってもらうことを前提に、首長は教育委員に任命しているのである。自民党のはここを理解していないようだ。首長経験のある国会議員がもっと意見すべきだ。だから教育長を首長が任命できるというのは改革でもなんでもない。

重要なことは、巨大な官僚組織となった教育委員会事務局や学校現場にガバナンスが効いていないこと。「統治」が非常に弱いこと。だから小規模な自治体では、教育委員会制度の問題点は顕在化されないのであろう。そういうところは今のままで良いのだろう。

自民党案では、教育長は教育委員会からのガバナンスを受けなくなる。首長が任命できるとしても、それは今でも任命できている。今でも首長が教育長を任命できているにもかかわらず、ガバナンスが効いていない。だからこそ大阪では教育基本条例を制定した。

やはり大規模自治体では首長が権限と責任を持つべきだ。小規模自治体では今の制度でも良いのかもしれない。重要なことは統治機構論、ガバナンス論は、組織の実態に合わせた制度論議にすべきだ。様々な規模の自治体がある以上、選択制にすべきなのであろう。

にもかかわらず、全国1700、規模も状況もそれぞれ異なる自治体を一括りにして、市区村長にアンケートを行い、教育委員会制度廃止を唱える長は少数だ!と発表する教育学部准教授の調査は全く意味がない。1700ある自治体のうち、少なくても47都道府県の知事は、教育委員会廃止を唱えている。

東大教育学部准教授さん、自治体の規模や、教委事務局の規模、実態を分類化して、再度丁寧な調査をして下さい。

中教審の分科会が論点整理をやる。現在3案があるようだが、どれか一つに絞るというのは最悪の議論のやり方だ。これは統治機構論、ガバナンス論が分かっていない。今の3案それぞれメリット・デメリットがある。まず行うべきは、今の教育委員会事務局の実態分析だ。

大阪市教育委員会事務局については実態分析を行い、課題を抽出した。そしてその課題を解決するための事務局あり方を今とりまとめている。中教審もガバナンス論議をするなら、まずは教委事務局の実態分析が先だ。それ抜きに、どんなガバナンスが良いのか議論してもそれは机上の空論だ。

高橋先生ならではの、きついウィットに満ちた批判ですね。その通りです RT @YoichiTakahashi: 新聞にガバナンス論を期待できないでしょう。新聞社株の譲渡制限を定めた日刊新聞紙法 bit.ly/9GXVQi があるから新聞社のガバナンスすら怪しい

頑張る先生も多いですが、そうでない先生もいるのが実態です。公務員だと適正評価が難しい。ゆえに公立学校の公設民営化に挑戦する意味があるのです。頑張る先生の給料は上げるべきです。 RT @anotherFai: @t_ishin 関係無いですが、教諭の給料をあげて欲しいです…

今回のはだしのゲン騒動でも、朝日や毎日の立場がよく分からない。政治と教育の分離というのは、民主主義、多数の力で教育が歪められないようにするということだ。選挙で選ばれた政治家はもちろん、まさにマスメディアも教育現場に介入するなということ。

今回、松江市の教育委員会が決定したことについて、朝日や毎日はそれを覆すためにキャンペーンをはった。これも政治による教育への介入だと認識していないのだろうか。朝日や毎日の「政治」とは、バッジを付けた政治家、首長という意識なのだろう。政治家は有権者からの支持を背負っている。

その政治家が教育に介入するなというのは、すなわち多数から教育を守るという趣旨だ。そうであれば事実の報道は当然だが、今回の朝日や毎日のキャンペーンは、明らかに教育委員会決定を覆すものであり、完全なる政治介入。首長が介入するのはダメで、新聞が介入することはOKなのか。

もし、教育委員会の決定を首長が覆したなら、朝日や毎日は烈火のごとく怒り、首長を批判するだろう。桜ノ宮高校の入試中止問題がそうだった。教育委員会決定に介入するなと僕は批判を受けた。ところが、朝日や毎日は、自分たちが教育委員会決定に介入することは何ら問題視しない。

首長がダメで、新聞が良い理由がさっぱり分からない。少なくても、僕は大阪の有権者から選挙で選ばれた。その僕が教育委員会決定にかかわること(桜ノ宮の入試は、まだ教育委員会決定の前だった)さえダメだったのに、すでに教育決定がなされた閲覧制限を新聞社がひっくり返しにかかることは良いのか?

朝日新聞の大好きな内田樹氏は、教育委員会が決めたことは皆正しいという前提に立つべきだと論じている。そうであれば今回のはだしのゲンの閲覧制限も、文句は言えない。だから僕は、朝日の記者に問われて、教育委員会が大好きな朝日は何も文句が言えないでしょ?と返しておいた。

僕は政治と教育の完全分離は無理という立場。教育委員会の決定も間違うことがある。そして最終的に決定するのは有権者。ゆえに首長の介入も制限はあるものの当然許されるという立場。この立場にたってこそはじめて教育委員会決定について文句が言えるはずだ。
(橋下氏 twilogより)

(引用)
教委廃止、首長6割反対 東大准教授調査、市区町村672人回答
参考図表はこちらから
 教育委員会の改革論議について、全国の市区町村長はどう考えているのか――。東大の研究者が調査したところ、現行制度の廃止に反対する首長が全体の6割近くにのぼることがわかった。「制度を変更する必要はない」と考える首長も3割を超えた。22日の中央教育審議会で報告される。

 東大教育学部の村上祐介准教授が今年3月、全国の市長、区長全員に加え、町村長の3分の1の計1120人に調査票を送付。6月までに計672人から回答を得た。

 いまの制度を「廃止し、その事務を市町村長が行う」に首長自身「反対」「どちらかといえば反対」と答えたのは58%。「賛成」「どちらかといえば賛成」は11%。「どちらともいえない」は31%だった。

 一方、教育委員が会議で物事を決める現行制度をめぐり、「維持しつつ、改善を図る」に「賛成」(以下、「どちらかといえば」も含む)と答えたのは57%。教委の権限を弱めて「(方針を決めない)諮問機関とし、教育長を責任者とする」について「賛成」したのは58%だった。

 こうした結果から、村上准教授は「橋下徹・大阪市長と違い、多くの市町村長は、教育委員の会議について改革の必要はあるが、残すべきだと答えている。教育が政治から一定の距離を置く必要があるとの考えがうかがえる」と話す。

 調査では、教育の課題ごとに首長がかかわるかどうかも尋ねた。少子化で各地で進む「学校統廃合」について「関与すべきだ」と答えたのは83%、「学校でのいじめ問題への対応」は56%なのに対し、東京都、大阪府・市で問題化した「国旗・国歌の問題」は37%、東京都、大阪府、神奈川県でこの夏、問題になっている「教科書採択」は11%にとどまった。

 首長から見た教育行政の現状についても尋ねた。教委が一般行政から独立していることが首長自身に制約になっているかについては、「思う」「どちらかといえば思う」と答えた人が計23%。これに対し、「思わない」は倍の51%だった。

 教育委員が会議を開いて決めるから事務が遅れがちだと「思う」は14%。「思わない」が4倍以上の62%にのぼった。市区町村長は、今の教委をあまりネガティブにとらえていない様子だ。

 ■調査票の自由記述欄に記された市区町村長の意見の一例

 「首長が何もかも自己の決定権の下に置くべきだとする改変は疑問。首長の『過信』に基づくとも感じられる『万能感』による教委への過度の関与には『危うさ』を感じる」

 「先生が首長の号令一下、右顧左眄(うこさべん)するような雰囲気では、信頼ある安定した教育は望めない。そのためにも安定的な教育委員会制度が必要」

 「教育委員は教育方針を示しながら選挙で選任するのが妥当。理想の教育行政を展開すべきだ。定員も10人くらいであってもよい」

 「行政課題は首長が国の関係機関と意見交換して、どんどん改善されている。しかし、教育分野については首長が制度的に関与できない」

 「一部の教育委員会の運用・対応のまずさがクローズアップされすぎ」

 「政治、経済が必ずしも安定していない現状で感情的な議論にならないように」

 「戦後レジーム(体制)からの脱却を目指し、教育制度改革を一気に進めようとする考え方は危険。幅広い国民の声や住民主体の議論に基づいた制度改革でなければならない」

 ■きょう中教審、改革論点整理

 現行の教育委員会は、各地域での教科書選びや学校の統廃合、少人数学級の導入などを非常勤の教育委員たちの会議で決めている。

 これに対し、安倍政権の教育再生実行会議は4月、教育行政の責任を、教育委員による会議でなく、教育委員の一人でもある常勤の教育長が担うことを提言。日本維新の会(代表=橋下徹・大阪市長、石原慎太郎・衆院議員)は6月、教委制度そのものを廃止する法案を国会に提出した。

 いま、文部科学相の諮問機関・中央教育審議会の教育制度分科会が教委制度の見直しを検討している。22日の会議では、分科会長の小川正人・放送大学教授が改革の論点整理を示す。 (朝日新聞 8/22)

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