維新教育改革に暗雲?! 「落ちこぼれゼロ法 夢の果て」 朝日新聞 3/4付

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見出しだけ見ると、維新教育改革は失敗するぞ!と警告している様に見えるのですが・・・
長いですが、とりあえず読んでみて下さい

引用

落ちこぼれゼロ法 夢の果て
                 朝日新聞より 2012年3月4日

大阪市の橋下徹市長が、矢継ぎ早の教育改革を打ち出している。教育をサービスととらえて保護者や字どもに学校を選択させ、選ばれなかった学枚を統廃合して学力低下に悩む現場を立て直す構想だ。米国でも似た施策が進む。ブッシュ前政権が10年前につくった「落ちこぼれゼロ」法。教育から格差をなくすという理想を掲げて学校に競争と榔恥を導入したが、成果が上がらず見直しを求める声が強まっている。どこでつまずいたのか。

大阪に先行10年 NY150校淘汰

l月、ニューヨーク・ブルックリンの高校で開かれた教育委員会の傍聴席は、「disaster Decade(厄介の10年)と大書きしたパネルを持った教員、保護者ら約200人で埋め尽くされた。
 議題は、学力が上がらない公立学校8校の閉校。プッシュ政権が貧困世帯の低学力対策として導入した「落ちこぼれゼロ」法による措置だ。

 テストで・選別

 同法は学力アップにノルマを課し、果たせない学校は退場させる。具体的には3~8年生(日本では小3~中2)に毎年英語と数学のテストを受けさせ、各学校は、12年後に「良」を取る生徒が100%になるよう目標を設定。2年連続で目標達成に失敗すれば、保護者は手どもを転校させることができる。4年連歳で失敗なら教職員総入れ替え。5年連続なら、閉校か民間委託。ダメな学校は淘汰され、落ちこぼれはいなくなる-はずだった。
 ところがブルックリンの会議では、議事説明に傍聴席からブーイングが飛び、笛が鳴った。高校で体育を教えるクリス・ゲイリーさんは「この10年、市はテストの数字を基に教師を責めるばかり。貧困家庭の子どもの状況は何も改善されていない」と怒る。
 参考人として意見発表した5人の子どもの母キム・アービイさんは、「学校はテストのための勉強ばかり」と不満をぶつけた。
 毎日同じCDを流して単語書き取りと計算ドリル。英語と数学の授業が増え、音楽、美術、体育は削られた。「子どもは機械的な学習に飽き飽きしている」
 市当局は、州のテストで「良」を取った子が2002年は30%だったのが、10年間で英語が44%、数学が57%になったと胸を張る。だが教職員組合ユナイテッド・フェデレーション・オブ・ティーチャーズ(UFT)は「達成率が上がったのは州のテストが難易度を下げた結果」と反論。国のテストの成績は横ばいだからだ。

 弱者置き去り

 学力が上がったかどうかの論争が続く間に、学校の統廃合は着実に進んだ。
 UFTによると、市内の公立小中高校1750校うち、テストの成績などが基準に達しない150校が閉校になった。市内の全教職員の4分の3にあたる6万6千人が、定年に加え、強制的な配恵転換や激務によるうつなどで退職。統廃合対象になったジョン・デューイ高校の教師エリザベス・ボウイスさんは「教師たちは追い立てられ、疲れ切っている」と嘆く。
 校区が抱える貧困地域の子は、中南米移民の子で英語の読み書きができなかったり、勉強よりアルバイトを選んだりする。「スペイン語を授業に採り入れ、欠席がちな子には毎朝電話。できることは何でもしている。でも教師の努力だけでは限界がある」
 閉校した学校の校舎には、民間財団の寄付などで市民が運営するチャータースクールが入った。小規模の手厚い教育で生徒の成績は高い。だが校区の子を受け入れる義務はなく、校区外からも志願者が集まり高倍率の抽選となる。成績の上がりにくい障害児や英語が読めない子の入学を断る学校も多い。貧困地区ほど公立学校が激減し、チャータースクールからもはじかれた子が校区外への通学を強いられる矛盾が拡大している。

予算かけ細やかな教育を

大阪は大変なことになってるわね」。ニューヨーク市立大学のダイアン・ラビッチ教授は開口一番、そう言った。ブッシュ政権の教育調査官。大統領から「すべての子どもに基礎学力を付ける」という理念を聞いたときは感激したという。「でも現実はそうはいかなかった」。4年後から反対に転じ、橋下市長がすすめる大阪の教育改革にも関心を持っているという。
 学力テストによる学校・教員評価と公教育の縮小は「グローバル教育改革運動(GERM)」と呼ばれ、この10年でオーストラリア、韓国、台湾など環太平洋の先進地域に広がりを見せている。大阪の改革も「典型的なGERMですね」。背景には、新興国に産業基盤が移り経済が停滞することへの焦りがあり、競争による学力向上を目指すのが共通点だ。
 教授は、米国での失敗の理由を二つあげる。
 一つはへ学力の低い子ほど、最寄りの学校で、家の事情も知る慣れた先生に教えてもらいたがる現実を無視したこと。落第と判定された学校でも、転校を希望する保護者は数%。全国の学校を歩くと「僕の点が悪いせいで学校がなくなるの?」と多くの子に聞かれた。「学校のランクつけは下位の子の自尊心を傷つけ、やる気を失わせた」
 もう一つは、ノルマを果たせない学校の改善支援がうまくいかなかったこと。教育技術を学んだ優秀な教師を送り込み、テストの点を上げる反復練習を繰り返した結果、一時的に点は上がった学校もあった。だが連続きしなかった。大学入学時に科学や歴史の基礎知識が足りない子も増えた。「テストのための教育が広がり、かえって自分で考えるカを失わせてしまった」
 法律の成果もあった。一斉テストで、人種や性別による学力格差の現状を明らかにしたことはよかった」。だがその格差を是正するには、予算をかけて教員を増やし、きめ細かい多様な教育をする以外にない。「競争による学校や教員の淘汰は行き詰まる。それがアメリカの教訓です」
 米国の教育政策に詳しい篠原岳司・滋賀県立大准教授は、格差の是正に目を向けた同法の理念は否定すべきではないという。「現実には理念を生かし切れなかった。橋下さんには、子どもにどんな学力をつけたいのか、どう人と予算をかけて支援していくのか、全体像を描いて見せてほしい」

オバマ政権転換

 批判の高まりを受け、オバマ大統領は1月24日の一般教書演説で「テストのための教育をやめよう」「もう教員を責めるのはやめよう」と宣言した。教員確保や、学区ごとの福祉・教育支援に予算を付け始めている。  

よくよく読むと、維新が目指しているものと、全然違うものとわかります・・・
まあ、朝日新聞も、このタイミングで、よく見つけて掲載するなぁ・・・教員組合からプッシュでもあったのかね??
それとも、このような失敗はするなという援護射撃か(まさかね)
もちろん、橋下さんは、この様な事例は、とっくに承知してるだろうから必要ないんだろうけどね

でもまあ、間違いないのは、この記事を元にして、鬼の首取ったように批判するヤツが増えることだね・・・

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