【天下り】原英史氏「行政に巨大なゆがみが生じる。これこそが問題の本質」渡辺喜美議員「天下り斡旋について語る」

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少し前ですが、朝日で「天下り」の特集がありました。

大阪府市統合本部特別顧問や最近ではニュース女子で、おなじみの原英史氏が寄稿されています。

(耕論)天下りという快楽 中野雅至さん、原英史さん、横田由美子さん:朝日新聞デジタル

(引用)
 役所と大学や企業が「もちつ、もたれつ」になるとき、一体何が起こるのか。「天下り」はなぜなくならないか。文部科学省の再就職あっせんから、考えてみた。

 ■便益生じ、行政ゆがむ恐れ 原英史さん(政策コンサルティング会社「政策工房」社長)

 行革担当大臣補佐官として2007年から08年にかけて天下り規制の制度設計に携わりました。

 「省庁のあっせんを禁止しても、OBがするのではないか」という議論は当然ありました。でもOBを規制しようにも、退職した人を懲戒処分にはできないから、刑事罰を設けることが必要になる。その調整が難しく、踏み切れませんでした。

 いくらOBがあっせんしようとしても、基礎となる人事データは役所の人事部局に頼るしかない。それは省としてのあっせんにあたり違法なのだから、まさかすまい。こういう整理でした。

 07年の法改正で天下り監視機関が置かれたのに、12年まで事実上立ち上がりませんでした。政権を得た民主党が、自民党政権時代の規制に必ずしも賛成せず、見直す可能性を残したためです。結果として規制はできても監視体制がない状態が放置されたことも今回の背景にあるでしょう。

 天下りといえば、外郭団体での高額退職金などが話題になりますが、それは付随的な話でしかありません。天下りによって、行政に巨大なゆがみが生じている可能性が高い。これこそが問題の本質なのです。

 退職者を受け入れてくれる外郭団体や法人に、無駄な補助金が支出される。天下りを受け入れた民間企業に監督官庁がお目こぼしをするとか、天下った人が取れないはずの情報を取ろうとする。

 今回の問題でいえば、文科省OBを受け入れる大学は「OBを受け入れたら何らかの便益がある」との期待を持つ。それで大学を監督する文科省の本来機能が果たされますか。まともなカリキュラムを組めず、市場から退出した方がいいと思われる大学が存続することにつながります。行政のゆがみとはこのことです。

 私は天下りの全面禁止に賛成です。自力で再就職できる官僚は、どんどん再就職すればいい。自力でできない人はスタッフ職などとして、年金がもらえる年齢まで霞が関に居続ける。単純な理屈です。

 この主張には必ず「公務員の人件費が膨れ上がる」「組織が高齢化して新陳代謝できない」と反論が出ますが、論理的ではありません。仕事の成果がないのに年功を積んだだけで給料が上がっていく制度をやめ、能力、成果と給与が厳密に結びつく体系に変えればいいのです。民間は当たり前にやっていますよ。

 自力再就職か、さもなくば年金をもらえるまで霞が関勤務か。もう結論は出ています。スタッフ職を充実させている一部の省庁もあります。成果と給与、処遇を明確にリンクさせる人事制度を、霞が関が全面的に採用する時期が来ているのです。

 (聞き手・畑川剛毅)

    *

 はらえいじ 1966年生まれ。89年旧通産省入省、公務員制度改革事務局などを経て退職し、2009年から現職。

 ■改革空振り、組織的な癒着 中野雅至さん(神戸学院大学教授)

 いま問題になっている文科省による天下りのあっせんは、人事課OBが介在し、人事課から元局長の履歴書などを天下り先となる大学に送っていた組織的なものでした。官僚OBがブローカーのように動いているとうわさで聞いたことはありましたが、ここまでの癒着(ゆちゃく)は予想を超えています。

 天下りや政官業の癒着に対する批判の高まりをうけ、第1次安倍政権下の2007年、国家公務員法が改正され改革が進みました。各省庁によるあっせんを禁止し、その代わりに内閣府に官民人材交流センターを新設して一元的にあっせんし、再就職等監視委員会が事後チェックするしくみにしました。

 しかし、センターの位置づけに政治的なコンセンサスがいまだになく、日本の労働市場の特性もあって、公務員と就職先のマッチングがうまくいっていません。監視委員会のチェックも内部告発頼みで、規制違反の認定は少数にとどまります。透明性は高まったものの、いずれも機能しているとは言いがたいです。

 今回表に出たのが珍しいだけで、結局各省庁のあっせんが続いているのではないかと考えさせられます。

 大学の設置をはじめ文科省の許認可権は絶大です。研究資金など補助金についても、大学を競わせて決定します。大学側のマネジメント機能が弱いのも、また事実です。教授や大学経営を補佐する幹部職員として、役所から再就職を受け入れる構図ができあがっています。

 09年に自著でまとめたときは、国家公務員の再就職先は民間企業が12~14%止まりで、財団法人などの非営利法人が半数近くでした。省庁から交付される補助金などが多い法人や企業ほど、公務員からの再就職組の割合が高いことがわかりました。こうした傾向は変わっていないと思います。

 天下りをあっせんした文科省OBは、月2日勤務で顧問をしていた生命保険会社から年収1千万円を受け取っていました。この会社は、そのOB人脈がどれだけ役立つかを見積もった上で、支払ったのでしょう。

 内閣人事局ができ、官僚に対する政治家の優位ははっきりしました。かつてのように官僚OBが天下り先を渡り歩く例は減っています。OBを出せる先が増えないなか、退職年齢が上がり、人事が停滞しがちで、各省庁とも苦労しているのが実情でしょう。

 再就職先を職場の人間関係からOBが紹介すること自体には反対ではありません。日本の労働市場は流動性が低く、人脈で再就職するのが主流です。民間企業でも行われているのに公務員はダメというのは、職業選択の自由の制約になりかねないと考えています。

 (聞き手・川本裕司)

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 なかのまさし 1964年生まれ。厚生労働省を経て公募で兵庫県立大助教授になり2014年から現職。著書に「天下りの研究」。

 ■次の職探し、改めて形探れ 横田由美子さん(ジャーナリスト)

 ずいぶん古典的な形の天下りのあっせんが発覚したものですね。1990年代後半、厚生省(当時)の汚職事件などをきっかけに猛烈な官僚バッシングが起こりました。その頃のしくみがそのまま残っていた。一世代前のようだな、と感じます。

 霞が関の取材を始めたのは2000年代前半の小泉政権の頃。官僚バッシングの余韻が色濃く、政治の流れが変わってきた時期でもあった。将来に見切りをつけて辞めていくキャリア(幹部候補生)の若手がたくさんいました。東大をはじめとする難関大学を出て、民間に進んだ同級生と比べてはるかに安い給料で働いているのに、国家のために尽くしているとか社会的に尊敬されているといった誇りも持てない。この仕事は何だと考えてしまったようでした。

 その後、リーマン・ショックもあり、キャリアといえども簡単には辞められない時代に突入しました。いまは合法的に再就職できればと思っている人が多い。出身官庁のあっせんは受けない形をとるとか、利害関係先にはワンクッションおくとか、そういうことには気を使います。

 ですから、今回の天下りについて若手、中堅世代の官僚に聞くと「びっくりした」という反応が多い。役人の常識からはどう見ても規制に違反しているわけで、堂々とやる感覚は恥ずかしいという感じなのでしょう。一方で「あれ、いいよな。俺も最後までがんばっちゃおうかな」とつぶやいていた人もいる。半ば冗談、半ば本気でしょう。

 もともと、天下りあっせんのしくみはノンキャリアのために作られた面があると言われています。エリートで人数も少ない高級官僚は、そんなに行き先に困っていなかった。なのに、あっせんを受けるようになった。いちばんの問題はそこだと思います。高等教育局長といえば、大学教育をみていたトップですよね。そんな立場でなぜ、やすやすと大学に行くのか。

 だからといって、やみくもに官僚制打破を叫び、霞が関を機能不全にさせていいわけではありません。大ヒット映画「シン・ゴジラ」では官僚たちがはつらつと働きます。知り合いのある官僚が「感動した。3回見に行った」と言っていました。バッシングにもかかわらず省庁に入った40代前後の世代には、国民のために働くという気概を保っている人もいる。そういう良識に期待し、国民が適切にチェックできる透明なしくみを作って、しっかり働いてもらうべきです。

 公務員の仕事には特殊な面があり、ハローワークに行ったところで再就職先は簡単には見つからないでしょう。官僚向けの次の職探しのしくみ作りを、もう一度、模索するしかないと思います。

 (聞き手・吉沢龍彦)

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 よこたゆみこ 大学在学中から、官界や政界をテーマに取材。著書に「官僚村生活白書」「ヒラリーをさがせ!」など。

(オリジナルの掲載順を変更しました)


そして最近見つけた動画(2017/01/22公開)

「国家公務員天下り斡旋について語る」渡辺よしみの政界生中継
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