朝日特集:(トランプがきた)橋下徹インタビュー(終)「レッテルを貼って批判するな」

朝日特集:(トランプがきた)橋下徹インタビュー(1)「負けたのは、知識層だ」
朝日特集:(トランプがきた)橋下徹インタビュー(2)「米国は自由にモノを言えない社会になっている」
朝日特集:(トランプがきた)橋下徹インタビュー(3)「トランプの政策にも一理ある」
朝日特集:(トランプがきた)橋下徹インタビュー(4)「自分たちと異なる価値観の政治を『ポピュリズム』という言葉で批判するのは間違っている」

の最終回です(全5回)

前大阪市長・橋下徹インタビュー詳報(5) — トランプがきた — 朝日新聞GLOBE

(引用)

国末 橋下さんは「ナショナリスト」と呼ばれるのが嫌だそうですね。でも世の中では、ポピュリストとナショナリストがごっちゃになるときがあります。

橋下 ポピュリズムだとか、ナショナリズムだとか、すぐにレッテルを貼るのがポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)を重視する人たちの特徴なんですよ。保守だ、リベラルだ、ポピュリズムだ、ナショナリストだ、というのは、先にそれを宣言するものではなくて、その人のいろんな考え方や、課題解決の方法を蓄積していった結果、あ、この人ってなんとなく「ナショナリスト」に分類されるような人だよね、という最後の帰納法的なラベリングでつけるようなものでしょ? ナショナリズムやポピュリズムが先にあって、その人の思考や言動がすべてその枠にきっちり収まるようなものじゃない。だからナショナリストって言われたら、「そんなレッテルを貼ってしょうもない表面的な批判をするのではなく、これまでやってきた行動の中身をしっかり批判しろよ」と言いたいですね。

僕はあくまでも個人というものを重視して、不公平、不公正をなくしたい、経済的な格差でチャンスが与えられていない、特に教育のチャンスが与えられていないという状況を解決したいと思って、政治家になったわけです。そしてその解決案を実行してきた。それをずっと積み重ねていけば、僕は「新自由主義者」というレッテルを貼られるのかもしれない。僕は「切磋琢磨(せっさたくま)」というものを重視してきたからね。でも、僕の政治活動を「新自由主義者」というレッテルを貼って、新自由主義はダメだという表面的な批判が多い。そんな批判では政治は良くならない。それぞれの政治活動にはそれなりの理由や考えがあるんです。だからレッテルを貼って批判するのではなく、個別の政治活動についてしっかりと批判を受けたいですね。

国末 もうひとつレッテルを言いますとね、権威主義とか強権主義とかいう言葉がポピュリズムとごっちゃにされることがある。たとえばプーチン。そういった権威主義、強権主義と、橋下さんの手法はどう違うのでしょうか。トランプさんは権威主義でもあると思うんです。自分の思ったことをガンガンやって、周りの言うことをきかないということもありうる。政治家とメディアが健全な関係でやりとりするのは必要だと思いますが、プーチンみたいにメディアを統制しようとして、御用メディアばかりになる危険性はないでしょうか。安倍さんもその傾向がある。

橋下 まず権威主義とか強権主義というレッテル貼りは意味がないですよ。個別の活動、行動を具体的に批判しないと。そして権力者の権力の行使の仕方ですが、それは民主主義のレベルによると思いますよ。日本やアメリカで権力者1人が強権を発動して、警察組織や軍、自衛隊が、国民の身柄を理由なく拘束して拷問するなんて無理ですよ。

国末 そこまでいかないけど、メディアが礼賛するというかたちにはなりうるのでは。

橋下 そんな抽象的な心配ばかりしても意味がないですよ。もしそんなことがあればメディアが抵抗したらいいじゃないですか。自衛隊や警察を使って政権批判したメディア人をしょっぴくなんて、日本では無理でしょう? 中国だったらやりますよ。北朝鮮でもやります。ロシアでもやれるんでしょう。僕はアメリカに住んだことがないので分からないですけど、アメリカでも無理だと思いますよ。

トランプがアメリカの課題を解決できるかどうか。それはトランプ1人の力じゃなくて、メディアの役割も大きいと思います。メディアがトランプの言葉尻に神経過敏にならずに、アメリカの課題を直視できるかどうか。ワシントンやニューヨークやロサンゼルスの知識層、富裕層の人たちとおしゃべりして問題を考えるんじゃなくて、アメリカの中部に記者が行って、そこの住民に何が不平、不満なのか、どのような考えを持っているのかを聞き出して、それを解決するためにはどうしたらいいのか、メディア自身が積極的に発信していく。それが重要じゃないですかね。

僕も一部の知識層と言われる人たちには眉をひそめられることがありましたけど、市民や府民の多くが支持してくれなかったら政治なんてやれなかったわけですよ。すごい批判も受けましたけど、多くの市民や府民の問題意識をすくいとってきた自負はあります。何やかんやいって8年間政治をできたのは、メディアや知識層に好かれるように言葉だけで取り繕うのではなくて、市民や府民が疑問に思っていた税の使われ方の不公正に少しはメスを入れることができたからかな、と思っています。

国末 メキシコの政治学者ベンハミン・アルディティは、ポピュリストのことを「ディナーパーティーに酔っ払って到着した客」にたとえています。テーブルマナーを守って、きれいにパーティーをやっているところに、酔っ払ってやってくる。それで本当のことをぶちまける。

橋下 あとはそのパーティーをそばで見ている人たちが、どう感じるかですよね。酔っ払いがいろんなことを言うのを聞いて、ああ、そうだよね、俺たちも考えなきゃいけないよね、と思わないといけない。でも、「お前みたいな酔っ払いはこのパーティーから出て行け!」ってやってるのが、今のポリティカル・コレクトネスを過剰に重視してる人たちの状況ですよね。

クリントンが選挙戦の最後にセレブを集めた集会、あれで負けたなと思いましたね。ああ、この人、まったく分かってないんだと。ボン・ジョビだなんだ、金持ち連中を集めてですよ。全米には明日のメシを食うのに困ってる人がいっぱいいて、だからトランプの支持率が上がってるのに。セレブの応援で国民が動くと思ったんですかね? あれこそセレブの象徴ですよ。FBIのメール問題どうのこうのよりも、あんなことを平気でやってしまうクリントンのこれまでの態度振る舞いというものが、多くの反感を買ったんだと僕は思いますけどね。

国末 橋下さんもいずれ政治に戻るんじゃないですか? トランプみたいに70歳くらいで。

橋下 いやあ、それはないです。もうないです。知識人として無責任にしゃべる方がいいです(笑)。
(聞き手=GLOBE編集長・国末憲人、構成=GLOBE記者・左古将規)

インタビュー連動企画番組
リベラルの退潮を、お気楽なポピュリズム批判で片付けようとする朝日記者

橋下さん辛抱強い!
次から次へレッテル貼りに凝り固まった質問に、怒らず冷静に答えている。

長年の朝日とのやり取りから、完全に手玉に取ってる感じですね。

朝日では、こういうレッテル貼りのバリエーションの多い人が出世するんでしょう…(-“-;)

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