3/26(日)
今日の朝日は特集記事と社説を連動させて、「大阪万博やめろ!大キャンペーン」を張りました。
再び大阪万博、誘致なぜ 1.9兆円効果? 関西浮揚狙い:朝日新聞デジタル
(引用)
大阪府が誘致を目指す2025年の国際博覧会(万博)について、経済産業省の検討会で報告書案がまとまった。政府は近く立候補を閣議了解する見通しだ。1970年の大阪万博は人々の記憶に残るが、時代は変わり、万博の意義を疑問視する声もある。なぜ、いま万博なのか。経産省の報告書案では、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪市が湾岸部で造成中の人工島「夢洲(ゆめしま)」(此花区、390ヘクタール)の100ヘクタールで開く。
高い科学技術力を持つ一方、高齢化が進む日本を「未来社会の実験場」と位置づける。サブテーマには「多様で心身ともに健康な生き方」を挙げ、健康を軸の一つに据える。全国への経済波及効果は1・9兆円と試算している。
入場者は約3千万人と想定し、情報通信や仮想現実(VR)などの技術を使い、遠方の人も距離の壁を越えて体験できる万博をめざす。会場内では、環境負荷が少なく自動運転などの技術を採り入れた次世代の乗り物(スマートモビリティー)の導入も検討する。
一方、経産省は「皆で世界を動かす万博」を掲げ、若者やベンチャー企業などの斬新なアイデアを事業に反映させると打ち出した。 経産省が13日の検討会の最終回で示した報告書案では、学生や若い社会人の意見を採り入れた事業例を紹介。五輪選手の運動能力を体験できる「パワードスーツ」▽すいているパビリオンをロボットが紹介▽ドローンで荷物を運搬――などを例示した。
大阪府は、万博をライフサイエンス分野の実証の場として利用しながら、将来の関西経済の牽引(けんいん)役に育てるのが目標だ。
大阪経済は東京一極集中で地盤沈下が著しい。帝国データバンクによると、15年までの10年間に本社を府内から府外に転出させた企業は約2400社に上るが、転入企業は約1500社にとどまる。
会場予定地の夢洲は「負の遺産」とも言われる。かつて大阪市が目指した08年夏季五輪の選手村になる予定だった。しかし誘致競争に敗北し、夢洲の埋め立て(総事業費3349億円)は全体の4割弱しか完了していない。売却された土地はその1割以下だ。
松井一郎大阪府知事は、その夢洲を「大阪の成長の核にしたい」と期待をかける。1250億円程度をかけて夢洲に会場をつくり、730億円以上の投資で島への鉄道延伸などの関連インフラを整備する方針。会場建設費の負担は国と府・大阪市、経済界で3分の1ずつとする見通しだ。
府と市は、夢洲の会場予定地の隣にカジノを含む統合型リゾート(IR)も誘致する方針だ。IR誘致への風当たりは強いが、早ければ23年に開業させ、万博とセットで投資や観光客を呼び込む青写真を描く。万博の跡地を使ってIRを広げる検討もしている。
政府は20年の東京五輪後の景気浮揚策として万博に期待を寄せており、近く閣議了解する。近年、大規模な万博は5年に1回開かれており、25年の万博の開催地は、18年11月に博覧会国際事務局(BIE)の加盟国(現在168カ国)の1国1票の投票で決まる。
■ライバル国は… 仏、正式立候補 英・カナダ、撤退
25年万博のライバルと目されるフランス。昨秋、「分かち合う知、守るべき地球」をテーマに、立候補を正式表明した。今夏にはパリ近郊の複数の自治体から主会場を選ぶ方針だ。
経済効果への期待も大きい。4千万~6千万人が来場し、16万人の雇用が生まれると見込む。鉄道などのインフラ整備とあわせ、経済へのテコ入れ策にする考えだ。
4~5月の大統領選に向け、ルペン党首が支持率で首位を争う右翼・国民戦線からも「経済成長につながり、フランスの魅力を発信する場にもなる」(地元議員)と歓迎する声が出る。
ただ市民の関心は、むしろパリが立候補する24年夏季五輪に寄せられている。
他のライバル都市は、撤退を決めた。問題視されたのは、巨額の公費負担だ。
「万博開催は、納税者にとって金額に見合う価値がない」。英財務省は昨年11月の声明で、25年の万博誘致断念を表明した。
15年3月、当時の文化担当の大臣が「ロンドン五輪の成功に続きたい」と誘致の意向を表明。中部マンチェスターと近郊の9自治体が名乗りを上げた。だが昨年6月の国民投票で英国は欧州連合(EU)離脱を決定。EU離脱の影響が見通せぬ中、巨額の公費負担が生じるおそれがあると判断したとみられる。
カナダのトロント市議会も昨年11月、25年の万博誘致を進めないと決議した。万博会場だけで市の負担が19億カナダドル(約1600億円)かかり、周辺の開発も含めると60億~70億カナダドルと積算されていた。
■問われる意義、不要論も
万博の意義は時代とともに変遷してきた。
第1回は産業革命時代の1851年、「産業革命の集大成」として開かれたロンドン万博。輪転機など工業化時代を映し出す先端機械が展示された。53年のニューヨーク万博ではエレベーター、78年のパリ万博では蓄音機が披露され、89年のパリ万博でエッフェル塔が建設された。
「博覧会の政治学」の著書がある吉見俊哉・東大教授は「万博というものが特別な意味を持った時代はあった」と言う。万博は市民が先端技術に触れると同時に、帝国主義の時代に国家が「国威」を示し、市民を啓蒙(けいもう)する場でもあった。
日本初の万博は、高度経済成長期だった1970年の大阪万博。前年にアポロ11号が持ち帰った「月の石」など、最先端に触れ、豊かさを実感する場として、史上最多(当時)の6422万人が訪れた。会場で売られた缶コーヒーやファストフードはその後、爆発的に広がった。
ただ、吉見教授は「日本ではここで万博と地域開発が一体化する仕組みができた。博覧会の時代は終わったのに、自治体はなかなか抜けられない」と言う。
時代も変わった。情報があふれる今、万博の意義を疑問視する声も上がる。BIEも94年の決議で、「地球規模の課題解決に貢献するもの」と万博のあり方を見直した。国内では90年代のバブル崩壊以降、経済が低迷。万博への期待感はかつてほどではなくなっている。
2005年の愛知万博は、BIEの新方針を踏まえた初の万博だった。環境に配慮した暮らしを提案。本格的な市民参加型の万博で、入場者らが会場でごみを9種類に分別するなどの経験が市民生活に根付いたとされる。催事ディレクターだった澤田裕二氏は、万博の可能性について「大きな社会変革を目指す事業としては有効だ」と語る。
25年の万博で何を目指すのか。13日の経産省の検討会で、委員が指摘した。「その時の常識も超え、既成概念も超えるような場でないと誰も驚かない」。多額の資金を投じ、万博を開く意義は問われ続ける。
◇この企画は、上田真由美、青田秀樹、中井大助、渡辺志帆が担当しました。
(引用)
大阪で25年に国際博覧会(万博)を誘致しようとする経済産業省の構想案がまとまった。安倍政権は5月下旬までに、博覧会国際事務局(BIE)に立候補を届け出る方針だ。ただ、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした案は、全般に漠然としてインパクトを欠く。昨年11月にいち早く立候補したフランスに勝てるかという問題以前に、国民の理解を得られるか、疑問だ。
巨額の資金確保や交通アクセス整備にも難題を抱えている。手続き上、立候補は閣議了解だけでできるが、国会でその是非を議論すべきだ。
大阪万博構想は、松井一郎大阪府知事が率いる大阪維新の会が14年に提唱した。わずか3年でここまで進んだのは、維新との関係を重視する安倍政権の後押しゆえだ。関西出身の世耕弘成経産相はとりわけ前向きだ。
だが、構想浮上から閣議了解まで7年かかった05年愛知万博に比べ、準備不足は明らかだ。
最も重要な開催テーマについて、大阪府は「健康・長寿」を提案した。しかし経産省の有識者会合では「途上国の支持を得にくい」との声が相次ぎ、「未来社会」に今月変更された。
人工知能(AI)や仮想現実(VR)といった先端技術を駆使し、参加型で疲れない万博を目指すという。多くの要素を盛り込もうとしたあまり、かえって万博の統一的な方向性が見えにくくなった感が否めない。
フランスでは官民合同の万博誘致組織が12年末から活動を始めている。日本はまだ、経団連会長をトップとし、今月27日にようやく発足する段階だ。
経産省は今月の有識者会合に「関西弁」に訳した構想案を参考資料として配布した。ところが批判が相次ぐと、すぐに撤回した。政府の司令塔のドタバタぶりにも不安を禁じえない。
万博の会場建設には1250億円かかる見込みだ。過去の万博では国と地元自治体、経済界が3分の1ずつ負担してきた。ただ、関西の企業からは「一過性のイベントに資金を出すのは難しい」との声が相次ぐ。
会場候補の人工島には鉄道がなく、必須となる地下鉄延伸で別に640億円かかる。大阪府と大阪市はカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致とセットでの整備をもくろむものの、カジノには府民の抵抗感が強い。
松井氏らは「20年東京五輪後の成長の起爆剤に」と25年万博開催にこだわる。だが無理押しする必要がどこまであるか。国民の意見を幅広く聞き、立候補を慎重に判断したほうがいい。
IRが絡むし、何としても阻止したいんでしょうね・・・
こんな勢力が日本の成長を足踏みさせているんでしょうね(-“-;)
ちなみに、昨日3/25日本維新の会党大会の記事は、小さくこの見出し・・・
松井代表「首相は忖度ないと強弁し過ぎ」 森友問題:朝日新聞デジタル
朝日は反対かもしれませんが
吉本さんは応援してくれるようです。