引用
ツイッターはありがたい。報道されている事実に真実を付け加えられる。6月18日朝日新聞(大阪)3面。「財界談判、首長折れる」について。この日の会合は限られたメンバーなので誰かがしゃべられないと事実は公にはならない。僕は誰にも言っていなかったが誰かが朝日の取材に応じた。だから僕も語る
会合のメンバーは、関経連会長森氏、大阪商工会議所会頭佐藤氏、関西経済同友会代表幹事の大林氏、鳥居氏(当時は代表幹事就任予定)と、松井知事、僕。それぞれの事務局と一社大手製造業の社長。会合の趣旨は、その前に行われた松井知事、僕と経済界のオープン意見交換の続き。
オープン意見交換で様々な実務的課題が浮かび上がり、また経済界と意見交換をしていなかったので、後日意見交換やりましょうとなりました。当日お店へ着いたら、会場とは異なる別室で、森会長が電力について説明をさせて欲しいと言ってきました。当日急遽です。そのような予定は本来ありませんでした。
断る理由もないので、森会長から電力需給のひっ迫性について説明を受けました。その時は、政府の電力需給検証委員会の結果が既に出ており15%の不足が確定。これを補う具体案を出せるか色々考えていたところでした。丁度府市エネルギー戦略会議が関電と激論し、5%までギャップが縮まったとの報道。
政府の需給検証委員会は15%のギャップ。にもかかわらず府市のエネルギー戦略会議では5%との報道。この辺りについて森会長に疑問をぶつけながら1時間ほど電力需給のひっ迫性について議論しました。そして隣の部屋に移って会食。お酒も飲みましたが、初めから終わりまでほぼ電力問題についての議論
僕は、今回の政府の進め方は統治の王道に反すると強く主張し続けました。安全性については専門家が正式に公表したものではないこと、あくまでも暫定的な基準に基く暫定的な判断であること、その点を政府は真正面から認めず、国民に安全宣言をして国民を騙したこと。こんな統治をゆるせば権力は暴走する
政治の世界は正解がない道を歩むようなもの。既に決まっている正解を歩むのが行政。しかし時々正解が分からないものが出てくる。このときに道を選択するのが政治。何が真実かは分からない。だからこそ、手続きを厳守することが統治の王道である。手続きを厳守することで真実に近づくと信じるしかない。
このような話しを会食中、延々としました。そして本当に電力が足りないのであれば、暫定的な安全判断であればその場しのぎで限定稼働と言うやり方もあるのではないかと提案しました。森会長は即座に否定。僕は安全が不十分ならそれを真正面から国民に伝えるべき。
安全は完璧ではないけど停電リスクがあるから動かしますと正直に言うべき。安全は完璧ではないけど動かすとなればメディア始め非難ごうごうだろうけど、それに対して真正面から停電リスクの怖さを説明すべき。政治家が怖いと言って頭を下げれば国民は理解してくれるはずと訴えました。
最悪なのは国民を騙すこと。安全でないものを安全だと言い張ること。このような訴えをしたら、大商の佐藤さんや同友会の大林さん、鳥居さん、製造業の社長さんは皆そうだと同意して下さった。それを政府に言いに行こうと。
限定稼働まで認めてくれたかどうか定かではありませんせしたが、今の状態でなし崩し的に動かすことには森会長以外の経済界の皆さんは理解して下さいました。また安全が暫定的なものであることも理解して下さった。コメンテーターに、病院は自家発電があるからリスクはないだろ!と言っていた人がいた。コメンテーターの情報なんていい加減。先日府の調査結果によれば自家発電のない病院施設もあった。関西全体でも相当数あるだろう。原発事故は恐ろしい。しかし停電リスクも恐ろしい。停電リスクを覚悟するなら、その対処方法についてきちっと自信を持っていなければならない。
ところが停電リスクに対処する権限は、大阪府市にも関西広域連合にもない。リスク対応ができないのに、そのリスクは大丈夫だとは現実の行政を預かる立場では言えない。コメンテーターなら停電になっても病院は大丈夫と言えますが。元へ。朝日新聞の見出しのように財界談判で折れたのではありません。
posted at 10:28:00
(橋下氏 twilogより)
ツイートの元記事は・・・
引用
首長に迫った経済界〈原発列島ニッポン 大飯再稼動〉
5月15日、大阪市西区の日本料理店の一室。橋下徹・大阪市長と松井一郎・大阪府知事は、関西経済連合会の森詳介会長と向き合っていた。森氏は、関西電力会長でもある。手には、この夏の電力不足を示す資料。
7月後半に一昨年並みの猛暑になれば、需要ピーク時に15.7%不足する。火力発電に余裕はなく、原発を動かすしかない――。森氏は1時間以上にわたって、こう説き続けた。
その後、別室に移って宴会が始まった。その席で、首長側が切り出した。
「どうしても必要なら、夏に限って動かせばいい」
「そんなのはできない」。森氏は反射的に身構えたが、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働へ向けた流れは、この後、加速していった。
その4日後の19日。細野豪志原発相を交えた関西広域連合の会合。それまで再稼働に慎重だった橋下氏が突然、提案した。「電力需給に必要なら、動かし方はいろいろある。安全基準ができるまで臨時の運転という方法もある」
「限定的な稼働」が突破口となり、関西広域連合は30日に「限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」との声明を発表。橋下氏は記者団に「事実上の容認です」と語った。
広域連合の声明には、「卒原発」を掲げる滋賀県の嘉田由紀子知事も加わった。「経済界のこの夏を乗り切れないという悲痛な声を斟酌(しんしゃく)した」と説明した。
5月にあった意見交換会で、県内の経済6団体は嘉田氏に迫った。中小企業は、計画停電になれば事業がストップする。停電が起きたら責任は誰が取るのか――。
嘉田氏は、苦しい胸のうちを明かす。「企業が納める税金の約半分を占めるガラスや半導体の業界からも、死活問題だと毎日のように意見をもらった」「声明に対して『豹変(ひょうへん)したのか』と、様々な落胆の言葉をいただいた。ぎりぎりの判断だった」
■「大飯の次」へ議員詣で
国会近くの議員会館では、早くも「大飯の次」を見据えた動きが活発だ。
国内の全原発が止まった5月5日以降、全国の電力会社社員の姿が目立つ。原子力規制委員会の設置法案を成立させるよう、地元の議員らに陳情するためだ。
「大飯の次は来夏でいい、と勘違いされては困る」。ある電力会社の政治担当社員は危機感を募らせる。原発の再稼働は、夏場の電力不足を避けるためだけでなく、自社の経営の根幹を支えるのに不可欠と考えるからだ。
原発1基が止まり、代わりに火力発電で使う石油や天然ガスの燃料費は1日2億~3億円。再稼働しなければ、燃料費の増加分は電力業界全体で年間3兆円になる。原発を持つ電力9社の赤字額は、昨年度決算で計1.5兆円にのぼった。
その費用を賄うための資金集めも、厳しい。東京電力の再建計画をめぐり、計1兆円規模の支援をする銀行側が突きつけた条件は「値上げと原発の再稼働に道筋をつけること」。ほかの電力各社にも、再稼働させて経営を安定させよ、という銀行側の「無言の圧力」は、伝わっている。
再稼働せずにそのまま廃炉にしていくと、電力会社だけでなく、原発を抱える地域にも負担が広がる。
再稼働を決めた前日の15日。枝野幸男経済産業相は国会で、廃炉で生じる地元への悪影響をどう抑えるかを問われた。枝野氏は、かつて石炭生産をやめたときの対応を引き合いにし、「石炭の場合以上に、国が責任を持たなくてはいけない」と答えた。石炭と違い、原発をつくることは国策として地元にお願いしたためだ。
地元の雇用や財政への支援、使用済み燃料の処分……。原発政策を見直し始めると、政府の財政負担が必要な対策も増え、「ドミノ倒しのように次々と難しい課題が押し寄せる」(経産省幹部)。
脱原発依存を掲げる野田政権は、こうした原発を止める負担を示すことなく、再稼動だけを決めた。
(朝日新聞 6/18)
再稼動にしろ、消費税にしろ、総理とその周辺が、筋を通さず進めるやり方には、これが民主主義かと思うし、10年20年後への影響を考えると本当に恐ろしくなります。